またスキャンダルについて、今回はサウンドについてです。

正直この曲は当時の他の曲と比べても若干異質ではありますが、当時なぜこういう楽器のサウンドになったのかは考えてみたいと思います。

ベース

リズム編のところでこんなことを書きました。

なぜ当時のベースはあんなモコモコしたはっきりしない音で、減衰時間が短いのか。明確な理由があります。マイクやピックアップ等の電気的な問題ではありません。
SCANDAL RHYTHM – AUTHENTIC SKA STANDARD (wordpress.com)

これについて書きたいと思います。

この頃の録音のベースの音はなかなかもっさりもこもこしてて、ギリ音程が聴き分けられるくらいの感じです。ラインがはっきり聴こえてこない。

なぜあんな音かというと、理由は簡単でです。ガット弦だからです。

コントラバスの弦って当時は今みたいにスチールじゃなくてガット弦だったんです。アメリカの当時のジャズを聴いてもポールチェンバースとかガット弦なので、今のベースの音の鳴り方と全然違います。
ガット弦の特徴は以下です。

・音が丸い(今の金属製に比べたら羊毛ってイメージしたらわかりやすいですよね)
・テンションがゆるい(ギターやったことある人ならクラッシクギターのガット弦をイメージするとわかりやすいです)
・音の減衰が早い

ガット弦って、チューニング合うのにも時間がかかるし、持たないんですよ。ピッチもスチールに比べたら安定しないです。だからミュージシャンは利便性をとってスチール弦を使うようになるんです。

結果この弦のせいでちょっと弾き方も違ってくるのかなって思います。今の人たちはスチール弦でサスティンが長いのでちゃんと切らないとグルーブしない。だからスイングでも割と裏を多く入れるんです。クリスチャンマクブライドとかそうですよね。

昔の人、ポールチェンバースとかはそう言う弾き方しないですよね。自然な減衰でグルーブしてるって言うか、やっぱり四分音符の音楽をやってる感じです。最近の人は確実に16分音符の音楽の影響を受けてるんで、裏を引っ掛けたがるのもあります。

とにかく当時のコントラバスはガット弦です。音聴けばわかります。なんかこう、ちょっと緩い。ボワンとしていてもこもこしている。ジャズもそうです。録音の影響とかはそんなないと思いますね。ジャマイカよりはもう少しお金がかかっていそうな当時のジャズの録音はもっとはっきりベースが聴こえますが、やっぱりテンションが緩い感じがします。

ドラム

あとドラムについても似たような話があります。ドラムのヘッド、打面のことですが、今はプラスチックですが当時は動物の皮(革って書くべきなのか)です。この皮っていうのは非常に厄介で天気や湿気の影響を受けやすいんです。それにドラマーは常に悩まされていたんです。なので今でもプラスチック製のドラムヘッドにはウェザーキングとか、天気という言葉がはいった商品名が多いんです。素材で環境を克服したからです。

この皮のヘッドですが、チューニングのピッチに限界があります。高いピッチにはできない。だから、割と昔の音楽ってドラムのピッチ低いんです。
もちろんこの曲もそうです。

キックもけっこうな大口径の時代に皮のヘッドなんてはってるもんだから、かなりボンボンいうわけです。この時代ドラムってミュートもしてないです。これについては後で書きます。ミュートっていうのはもう少しあとの時代に録音の利便性のためだけにできたものなので、当時はミュートなんてしないです。

前に話した通りで、この曲に関してはおそらく四分音符を踏んでベースをフォローしてますが、かなりやわらかく、軽く踏んでると思います。

ちなみに小口径のバスドラムを使い始めたのは60年台のにマイルスのクインテットで叩いてたトニーウィリアムスが最初といわれてます。トニー先生からなんです、ボトムのピッチが上がったのは。

ね、大きいです。しかも浅いんです。小学校の時の大太鼓と同じフォルムです。大太鼓なんです、要するに。

録音

結論、当時の音っていうのは当時の機材の都合から致し方なく創られていることも往々にしてあって、全てがプレーヤーの意図したものではないってことです。

わかりやすい例を挙げるとドラムの話をしてたのでドラムでいいますがスカ(というかレゲエ)もロックもジャズ(というかフュージョン)も70年台に入ると急激にミュートし始めて、それがスタンダードな音に取って代わります。これはミュージシャンサイドが狙ってそうなったわけではありません。

レコーディングエンジニアの都合なんです。70年台に入るとマルチトラックのレコーディングが主流になります。ドラムの各パーツにマイクを立てるようになって、レコーディング後にそれぞれのパーツの音をいじれるようになります。そのとき問題になるのが「被り」です。たとえばスネアの音を金物のマイクが拾ってしまう、ということがおこります。これがマルチトラックの個別に音を調整する現場では邪魔だったんです。なのでミュートしてら被らないようにしたんですね。その音がいつのまにかスタンダードになってしまったわけです。ロックスデディやレゲエのドラムの音はとにかくサスティンがない、ボタっとした音になってます。

さっきの写真を見てわかるように結構なマイクの本数は立ってますが、当時のレコーダーではその前にミキサーでまとめて収録しなければならないので、その段階で追い込み切っていないといけない。ドラムに何本もマイクたてちゃったら逆に厄介なんです。

すごい余談なんですけど、70年代のドラムの音って本当にサスティンのない音が多いんです。どんなジャンルでも。ジャズ(は70年代死んじゃってますけど)とかレアグルーブとか、ポップスもロックも。ソウルもレゲエも。

ドラムって単純にリバーブとかかけてもどうしてもいい感じにならないんですよ。ノリがでなくなっちゃうんで。

そこで80年台に入るとゲートリバーブが流行ったわけです。音が一定の減衰をした時にレベルを切るんです。そうすると音を切ることによるグルーブが生まれるという仕組みです。ガンズ・アンド・ローゼスのスネアとか、むちゃくちゃこれです(笑)一周回って今聴くとちょっとかっこいいんですけど、まぁノスタルジックですよね。

90年代にニルヴァーナが出てくるあたりまでは本当にドラムの音っていうのは加工感が半端なく強いです。ミュートと、コンプとEQとリバーブとか。

ギター


すごく話がズレてしまいました。最後この曲で一番特徴的というか、独特すぎる音、ギターです。

まー歪んでます。これに関しても、こんな音出したかったわけではないんでしょう。

これは完全に予測なんですが、このギターの歪みは、チューブ(真空管)の感じがしないです。当時のジャマイカって考えると、小さいトランジスタのアンプをつかってたんじゃないかなと思います。それをみんなが聞こえるようにゲインを上げた結果、あんな感じの音になってしまったという。

おそらく当時のニブさんとか、この曲叩いてるワッキーさんて人も、音めちゃくちゃでかいんです。むっちゃくちゃでかいと思います。その中で小さいアンプで音出したら聴こえないですからね。ああいう音になっちゃう。

ただ、トランジスタっていっても現代のアンプで使ってるトランジスタと昔のトランジスタって全然違うんです。ちょっとこの辺詳しくは知らないんですけど、アンプでいうとポリトーンっていうメーカのアンプがわかりやすいです。古いポリトーンのトランジスタって全然音違います。今の非真空管アンプでつかっている回路とは全然違う。アナログな感じがするというか、真空管程ではないが、冷たい感じしないんですよ。

なのでこの曲のギターの音色に関しては真空管系のファットな歪より、トランジスタ系のちょっと硬い歪みのほうが近いんじゃないかなと。オーバードライブとかより、軽いディストーションとかファズのほうが雰囲気でます、きっと。

このギターの音聴くとレッド・ツェッペリンでジミー・ペイジがラインでギター録音して卓で歪ませたサウンドをなんとなく思い出すんですが、まぁそういう録音方法はしてないでしょう。

結論、アンプがちっちゃいからです。

あとギターに関して、多分指で弾いてますね。しかも親指なんじゃないかな。

それに関しては次回、スキャンダル和音編で書きたいと思います。

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